「ラベンダー色の大人の時間」     2007年 3月8日掲載

           
 ラッタッタッター、タララ、ラーラ、歯切れの良いタンゴのリズムを聞いてなにを思い出すだろうか。
 先日、「エリカ・ディ・サルボ楽団−スタイリッシュ・タンゴ」全国ツアーの高知公演を楽しんできた。今月21日に宜野湾市民会館でも、昼、夜2回公演される。沖縄の友人、知人と違う場所で同じような感動や雰囲気を、味わうことができるのは嬉しいかぎりだ。
 タンゴ発祥の地ブエノスアイレスから来日している希少な女性マエストロ、エリカ率いる七重奏楽団は迫力がありながら繊細で華麗。エリカとその兄のヴァイオリン二名、ピアノ、コントラバス各一名、アコーディオンに似た鍵盤のないボタンで操作するドイツ生まれの楽器―バンドネオンの奏者が三名。計七名が、優雅で明朗そして少し哀愁のこもった一時を私たちに与えてくれる。
 彼らが奏でるおしゃれなタンゴに、花を添えるのは世界的ダンサー三組。羽が生えたような軽やかさ、変化に富んだ身のこなし、スピード感溢れる足さばき・・・。一般に持つタンゴダンスの「妖艶な」イメージではなく、洗練され上品で優美だ。
 帰り道、沖縄からのアルゼンチンへの移住者のことが頭に浮かんだ。ウチナーンチュもタンゴを楽しんでいただろうか。疑問を彼の地からの帰国者に聞いてみた。「一世は異国に馴染むのに一生懸命。二世の代で、年頃になると楽しんでいた。」そうだ。
 ゆったりとした大人の時間が満喫でき、夫婦や恋人同士で出かけるのにお薦めしたいコンサートのひとつだ。いつかラッタッタッターで、あの日、あの時と思い出すのも一興では。


inserted by FC2 system