「タンポポは何色?」 2007年3月22日 サクラといえば、沖縄では濃い桃色の寒緋桜を、本土では花びらが風に舞うさまも美しい薄いピンクの染井吉野を思い浮かべることだろう。 開花を待つ桜の下に目をやると、素朴な花の代表タンポポが咲いている。 「タンポポは何色ですか。」と質問されたらあなたはなんと答えるだろう。 東京住まいだった新婚の頃、私たちは近くの公園によく散歩に出かけた。ある春の休日、夫が黄色い花に目をやり「この花何?」と聞いた。まさかタンポポを知らないとは・・・。言葉遊びか、冗談かもしれないと思い直し「タンポポ」と言うと、「これはタンポポではない。タンポポの花は白い。」と真顔。「黄色!」と言い切る私に「白!」と主張する夫。本屋に直行しポケットサイズの山野草図鑑を購入した。 黄色いセイヨウタンポポがトップバッター。その隣にやはり黄色いカントウタンポポ。にっこりする私に、夫が「ほら、あった!」と、次のページのシロバナタンポポを指差した。関東以西、なんと沖縄まで分布していることが判明。しかし、それは私が一度も見たことのない花だった。 現在住んでいる夫の故郷高知県で咲くのは、力強い黄色いタンポポではなく、背がすらりとし全体に淡緑色の上品な感じさえする白いタンポポだ。同じ名前を持っていてもイメージするものが大きく異なることを実感。 地域により習慣、多少常識さえも違う。「いつも自分が正しいと思わないように。」と、上京する私に言ってくれた父の言葉を昨日のことのように思い出す。 春は旅立ちのシーズン。目上の人たちの思いやりのあるアドバイスはいつまでも忘れないものだ。どうぞ温かい一言を。 |