「翡翠色の豆」                        2007年5月10日
                   
 ご近所の方から採れたてのえんどう豆を頂いた。
 「えんどうの花の咲く頃は 幼いときを思い出す 家の軒端に巣をくって 暮れ方帰ったあのツバメ」と「えんどうの花」(作曲・宮良長包、作詞・金城栄治)を歌いながら、さっそく調理に取り掛かる。さやを縦に押し、指ではじき出す。祖母と一緒にさやむきをし、母の手伝いをした記憶がよみがえる。遊びの要素があり楽しい手伝いのひとつだった。「豆ご飯」の炊き立ての匂いまでもが思い出される。 
 高知に住んで初めて食した豆料理に、姑が教えてくれた「えんどう豆のお汁」がある。お汁椀に、えんどう豆がいっぱい入っている、惣菜と汁が一体になった料理だ。だし汁で豆を茹で薄口醤油で味付けしたシンプルな調理法で、取れたての素材を活かし、栄養もあり、これから初夏にかけての旬の一品だ。 
豆を別茹でし、だし汁に醤油、酒やみりんを加え、仕上げに片栗粉でとろみをつける、京のおばんざい料理の「えんどう豆の翡翠煮」に近い。
 何度も歌っていたら、窓の外にツバメがたくさん舞っている。数年前の話だが、電線に巣立ち前の丸々太った子ツバメたちが並んでいた。親ツバメは遠くまで飛んでいって、虫を口にくわえ一羽ずつに食事を与えていた。何往復もして疲れたのであろう、親ツバメは電線の端っこに休んだ。親は子より痩せて小さかった。子等は親の方を向き一斉にピーピー鳴いて急き立てた。まるで「もっとご飯!」と大声で叫んでいるかのように。親ツバメはまた餌を求め飛んでいった。
 母の日も近い。お母さんが作ってくれた、教えてくれた、懐かしい思い出の味で感謝を伝えるのはいかがだろうか。



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